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相続後に支払う必要がある不動産売却での税金とは?確定申告や節税法もご紹介

2021/08/31(火)

相続した不動産を売却したいという相談をよく受けます。例えば「田舎にある実家を相続したのですが、職場から遠すぎるので住まないし、売却したい」「マンションを相続する予定だが、遺産分割のために売却したい」などです。

共通するのはどの方もやはり「税金」だと思います。
でも相続した時に支払う必要がある不動産の税金は、実は相続税だけではないのです。

あまり知られていないのですが、相続した不動産を売却した場合、相続税以外に5種類の税金を支払う必要があることもあります。確定申告をする必要も出てきます。でもご安心下さい。全ての条件で税金がかかるわけではありません。さらにいうと、不動産売却で利益が出なければ、支払う必要がない税金もあるのです。

そこで、分かりづらい不動産相続の売却に必要な税金を解説いたします。
相続登記の登録免許税から譲渡所得税まで、各税金をわかりやすく説明します。また、節税手法もお伝えしますので、多く支払い過ぎてしまうという事態を避けるためにも、ぜひこの記事を読んでお役立て下さい。

相続後に必要となる不動産売却の税金5種

相続した不動産を売却する場合、相続税以外に、以下の5種類の税金がかかる場合があります。

  1. 登録免許税
  2. 譲渡所得税
  3. 復興特別所得税
  4. 住民税
  5. 印紙税

なかでも注意が必要になるのは、最も税額が大きくなると見込まれる譲渡所得税や住民税です。

それぞれについて、以下で順に見ていきましょう。

税金①登録免許税

登録免許税とは、「相続登記の名義変更をする場合にかかる税金」のことです。
不動産を相続するときには、不動産の名義を相続する人(相続人)に変更する必要があり、この相続登記の手続きをする場合に必要となるのが登録免許税です。

登録免許税は、登記名義の変更をする場合に必要となる税金ですから、不動産売却で利益が出たかどうかとは無関係に支払う必要があります。
不動産を相続するときに、支払うことが避けられない税金と言えるでしょう。

ただし、一定の条件を満たした場合に軽減措置があります。

登録免許税の税額

相続登記を行う場合の登録免許税の税額は、「固定資産税評価額の1,000分の4」すなわち「0.4%」となっています。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地を相続登記した場合、登録免許税として4万円を納める必要があります。

ここでいう固定資産税評価額とは、市区町村が管理している固定資産課税台帳に記載されている価格のことを指します。市区町村の役所で確認することができます。

登録免許税の納税手続き

相続登記を行う場合の登録免許税については、納付期限はとくに設けられていません。
登録免許税は、原則的に銀行などの金融機関で現金で納付します。
納付が完了したら、領収書を登記申請書に添付して法務局に申請することが必要です。

なお、相続した不動産を売却する場合、第三者への売却前に、相続人に相続登記をして、登録免許税を支払う必要があります。

売却時には、次の所有者の名義に変更する手続きを行う必要があり、そのときにも登録免許税の支払いが必要になりますので、注意しましょう。

税金②譲渡所得税

譲渡所得税とは『収入に対して課される所得税の一種』で、不動産を売却したときの利益(=譲渡所得)に課税される税金です。
譲渡所得税は、登録免許税などとは異なり、利益(譲渡所得)が出ないときには、課税所得税は発生しません。具体的にいうと、3,000万円で購入した不動産を相続して1,000万円で売却した場合には、課税されません。

その一方で、3,000万円で購入した不動産を相続して6,000万円で売却すると課税されます。「利益を得たかどうか」というところが課税の分かれ目です。

また、以下で解説しますが、税額が大きくなりがちな点もポイントです。
その分、減税や控除の仕組みが複数あり、活用次第で税負担をゼロにすることも可能です。

減税や控除の仕組みについては、後で詳しく説明しますので、参考にして下さいね。

譲渡所得税の税額

では、相続した不動産を売却して利益が発生した場合、譲渡所得税はどのくらいかかるのでしょうか?

譲渡所得税は以下のように計算します。
少し複雑ですが「売却で得た利益に所得税がかかる」という基本を抑えておけば理解がスムーズになりますので、覚えておきましょう。
まず、課税のポイントとなる譲渡所得(=利益)を算出します。この譲渡所得に対して、一定の割合の税金がかかります。

具体的な計算方法は以下となります。

課税対象となる利益(譲渡所得)
=譲渡収入金額ー(取得費+譲渡費用)

不動産の売却には、不動産会社への手数料や登記費用など、諸費用がかかりますので、それら諸費用も「譲渡費用」として計算に含めたうえで、譲渡所得を計算します。なお、上記の「譲渡収入金額」とは、売却によって得ることになった金銭のこと。具体的には、不動産の売却価格です。

「取得費」とは、不動産を得るときにかかった費用のこと。具体的には、不動産の購入価格や購入手数料です。前述した登録免許税も取得費として計算します。「譲渡費用」とは、不動産を売却するときにかかった費用です。不動産会社に仲介を依頼したときにかかる仲介手数料や印紙税(後述)も譲渡費用にあたります。

上記で算出した譲渡所得に対して、所定の割合が譲渡所得税の税率になります。

条件譲渡所得税の税率
所有期間が5年以下の場合
(短期譲渡所得)
譲渡所得の約30%
所有期間が5年超の場合
(長期譲渡所得)
課税所得の約15%

上記の表をご覧になるとわかるように、譲渡所得税の税額は、不動産の所有期間によって異なります。

事例①

3,000万円で購入した不動産を相続して、不動産会社に仲介を依頼して、4,000万円で売却したとします。仲介手数料は128万円です。

  • 購入費用:3,000万円
  • 売却料金:4,000万円
  • 不動産会社への仲介手数用:128万円

この場合、以下で税額を計算します。

譲渡収入金額(売却価格4,000万円)ー{取得費(購入価格3,000万円+登録免許税12万円)+譲渡費用(=仲介手数料128万円+印紙税2万円)}=約860万円

この約860万円が「譲渡所得(利益)」となります。

そして、この不動産の売却が5年以内に完了したとしたら、この譲渡所得の約30%(約258万円)が譲渡所得税の税額となります。
一方で、この不動産の売却に5年超を要した場合は譲渡所得の約15%(約129万円)が譲渡所得税の税額となります。

譲渡所得税の税率譲渡所得税の税率譲渡所得税の税額
所有期間が5年以下の場合
(短期譲渡所得)
譲渡所得の約30%約258万円
所有期間が5年超の場合
(長期譲渡所得)
課税所得の約15%約129万円

譲渡所得税の納税手続き

譲渡所得税は所得税の一種ですから所得税と同じく確定申告で納付します。
具体的には、譲渡が発生した日の翌年の3月15日までに、税務署に確定申告書を提出し、納付書をもらって、それにしたがって納付します。銀行などの金融機関での振込みだけでなく、引き落としも可能です。

所得税の徴収は、一般的には雇用先が行っていますから、確定申告を行ったことがないという人も多いと思います。

けれども雇用先が所得税を納付していたとしても、それはあくまで働いている対価となる収入(所得)に対しての所得税。たとえ給料から所得税が天引きされていたとしても、2021年に不動産を売却し、利益が出た場合、2022年の3月15日までには、確定申告をしなければなりませんので、注意しましょう。

税金③復興特別所得税

復興特別所得税とは、収入に課税される所得税の一種で、東日本大震災復興に使うことを目的とした税金です。通常の所得税の税率に一定の税率が加算される形で課税されます。

期間限定の課税措置で、期間は2037年(令和19年)までとなっています。

復興特別所得税の税額

では相続した不動産を売却しようとなった場合、復興特別所得税はどのくらい課税されるのでしょうか?復興特別所得税は、所得税や譲渡所得税に加算される形で課されます。具体的には不動産売却でかかる所得税は、前述したように譲渡所得税ですから譲渡所得税率に2.1%を乗じる形で計算します。

前述したように譲渡所得税は、不動産売却で利益が出た場合のみにかかる所得税ですから、不動産売却で利益が発生せずに譲渡所得税がかからなかった場合、復興特別所得税も課税されない事になります。

また前述で、譲渡所得税は所有期間によって税率が異なる事はお伝えしましたが、復興特別所得税は譲渡所得税に連動する形で、所有期間によって税率が異なる事になります。

復興特別所得税の税額
所有期間が5年以下の場合
(短期譲渡所得)
譲渡所得の約30%×約2.1%=約0.63%
所有期間が5年超の場合
(長期譲渡所得)
課税所得の約15%×約2.1%=約0.315%

例えば、相続したあと5年以内に売却して、譲渡所得(利益)が1,000万円だった場合、譲渡所得の0.63%が復興特別所得税になるので、税額は6万3,000円となります。

復興特別所得税の納税手続き

復興特別所得税は、所得税の一種ですから、所得税や譲渡所得税と同様、確定申告形式で納付します。納付方法は、所得税・譲渡所得税と同じと考えて問題ありません。

具体的には、譲渡(売却)した日の翌年の3月15日までに、税務署に確定申告書を提出して、納付書を交付してもらって、納付します。引き落としもできます。

税金④住民税

住民税とは、その土地に住んで収入を得ている人に課される税金です。実は相続した不動産を売却する場合には、この住民税がかかる場合もあります。

この住民税についても譲渡所得税と同様、不動産売却で利益が出なかった場合には支払いは不要です。不動産で利益が出た場合に課される税金です。

住民税の税額

では、相続した不動産を売却する場合、住民税はどのくらいかかるのでしょうか?

住民税は以下のように計算します。
住民税も、譲渡所得税と同様、不動産売却で獲得した譲渡所得(利益)に対して、課税される点がポイントになります。そして譲渡所得に対して、以下の所定の割合の住民税がかかります。

譲渡所得税と同様、不動産の所有期間によって税率が異なることもポイントです。

住民税の税額
所有期間が5年以下の場合
(短期譲渡所得)
譲渡所得の約9%
所有期間が5年超の場合
(長期譲渡所得)
課税所得の約5%

具体的に言うと、相続したあと5年以内に売却して、譲渡所得が1,000万円だった場合、住民税はその約9%で、およそ90万円になります。

住民税の納税手続き

住民税は、申告の手続きは不要です。

譲渡所得税を確定申告すると、その分の住民税が次の自動的に請求されますので、その請求にしたがって納付すれば問題ありません。

具体的には、譲渡が発生した日の翌年の3月15日までに、税務署に譲渡所得税を記載した確定申告書を提出すると、市区町村から住民税納付書が送られてきますので、それにしたがって納付します。

手続きを行うことで、金融機関での引き落としも可能です。

なお、これまで説明してきたように、譲渡所得税と住民税は、同じような仕組みで課される税金なので、税率もまとめて計算してしまうと、覚えやすいです。

譲渡所得税と住民税の税額
所有期間が5年以下の場合
(短期譲渡所得)
譲渡所得の約39%
所有期間が5年超の場合
(長期譲渡所得)
課税所得の約20%

 例えば、相続後5年以内に売却して、譲渡所得が1,000万円だった場合には、譲渡所得税と住民税はその約39%となり、約390万円となります。

税金⑤印紙税

印紙税とは、不動産売却をはじめとした経済取引で作成した文書に課される税金です。

具体的には、相続した不動産を売却した場合に取り交わす売買契約書が印紙税の課税対象となります。

ほかにも、契約書、領収書、株券などに印紙税がかかります。

印紙税は、不動産売却で利益が出なかった場合にも課税されるので注意が必要です。

売却価格がごく少ない場合は非課税ですが、基本的には、不動産を売却した場合は、印紙税を支払う必要があると覚えておくといいでしょう。

印紙税の税額

では、相続した不動産を売却する場合、印紙税はどれだけかかるのでしょうか?

印紙税の税額は、売買価格によって異なり、2,000円から10万円になります。

具体的には、相続で得た不動産の売買価格が1,000万円だった場合、1万円が印紙税の税額となります。

以下の表で確認しましょう。

なお、2014年(平成26年)4月1日から2022年(令和4年)3月31日までの期間は表の右の軽減税額が適用されます。

例えば、相続で得た不動産を1,000万円で売却した場合、5,000円が印紙税の税額となります。

契約金額印紙税額印紙税の軽減税額
100万円~500万円2,000円1,000円
500万円~1,000万円1万円5,000円
1,000万円~5,000万円2万円1万円
5,000万円~1億円6万円3万円
1億円~5億円10万円6万円

印紙税の納税手続き

印紙税は、不動産売却時に使う売買契約書に、所定の税額分の印紙を貼り付けて消印をすることで納付します。

なお、印紙は、法務局や郵便局のほか、コンビニなどでも購入可能ですが、コンビニでは高額な印紙は販売していないことが多いので、注意しましょう。

税金まとめ

これまで、相続した不動産を売却するときには、5種類の税金がかかる可能性があることを解説してきました。

ただ、複雑な計算式もあり、なかなか全体像はつかみにくかったかもしれません。

そこで、最後に、ざっくりとしたイメージをつかんでもらうために、5種類の税金をすべてをあわせると、いくらぐらい税金がかかるのかをご説明いたします。

一例として、3,000万円で購入した不動産(価額3,200万円)を相続して5年以内に4,000万円で売却した場合を考えてみましょう。譲渡所得は約860万円です。

5種類の税金の税額を合わせると、以下のようになります。

相続した不動産を売却した場合にかかる5種類の税金例
登録免許税12万円
印紙税2万円
譲渡所得税258万円
復興特別所得税5万4,000円
住民税77万4,000円
合計354万8,000円

けっこうな負担になると思った方も多いかもしれません。

でも、安心して下さい。実は、不動産売却時にかかる税金には、控除や減税の仕組みがいくつもあるのです。

そこで、次は、控除や減税の仕組みについて、解説していきますね。

相続した不動産を売却するときの節税に有効な3つの方法

相続した不動産を売却する場合には、いくつも控除や減税・節税の仕組みがあります。

ここでは、代表的な3つの節税の仕組みについて紹介します。

以下の3種類です。

  1. 相続財産を譲渡したときの取得費の特例
  2. 相続した空き家の売却に伴う3,000万円控除
  3. マイホーム売却に伴う3,000万円控除(「3000万円の特別控除の特例」)

また、代表的とは言えないものの、相続不動産に子どもが居住していた場合などに適用できる各種特例についても後半でお伝えしますので、参考にして下さいね。

税金①相続財産を譲渡したときの取得費の特例

代表的な節税の仕組みの1つ目は、「相続財産を譲渡したときの取得費の特例」です。

相続財産を譲渡したときの取得費の特例とは、譲渡所得税や住民税の減税制度の1つです。相続税の申告期限から数えて3年以内に、相続した不動産を売却すると、相続税に応じて、譲渡所得税や住民税が減税されます。

相続税の申告期限は、通常は相続発生(死亡日)から10ケ月ですから、相続発生から3年10ケ月以内に相続不動産を売却すると、譲渡所得税や住民税の税負担が軽くなると理解しておきましょう。

なお、この取得費の特例は、相続税が課税されていることが適用要件の1つですので、相続税が発生していない場合は、適用できません。では、どのくらい減税されるのでしょうか?

例えば、3,200万円で購入した不動産(価額3,000万円)を相続して3年以内に4,000万円で売却した場合を考えてみましょう。

この場合、通常なら譲渡所得は約860万円ですが、3年以内ですから「取得費の特例」が適用されて、相続税分約400万円が取得費になり、その分、譲渡所得が減ります。

そして、譲渡所得が減ることで、譲渡所得税の税額が60万から120万円減ることになるんです。

取得費の特例による譲渡所得税の減税
譲渡所得税額譲渡所得税額(適用前)譲渡所得税額(適用後)
所有期間が5年以下の場合(長期譲渡所得)258万円138万円
所有期間が5年超の場合(長期譲渡所得)129万円69万円

詳しくは、国税庁ホームページ「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」も併せてご覧下さい。

税金②相続した空き家の売却で3,000万円控除

節税の仕組みの2つ目は、「相続した空き家を売却したことによる3,000万円控除」です。相続した空き家を売却するとできる3,000万円の控除とは、譲渡所得税や住民税の減税制度の1つです。具体的には、相続した空き家を売却して、一定の条件を満たすと、譲渡所得が3,000万円控除されます。譲渡所得が3,000万円減るわけですから、結果的に譲渡所得税や住民税がかからなくなる場合があります。

一例ですが、3,200万円で購入した不動産(価額3,000万円)を相続した後に4,000万円で売却したときに、この特例を適用すると、通常なら129万円ないし258万円かかる譲渡所得税の負担がゼロになります。

相続した空き家を売却したことによる3,000万円控除
譲渡所得税額譲渡所得税額(適用前)譲渡所得税額(適用後)
所有期間が5年以下の場合(長期譲渡所得)258万円0円
所有期間が5年超の場合(長期譲渡所得)129万円0円

ただし、相続した空き家を売却したことによる3,000万円控除を活用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された建物であること。
  2. 区分所有建物登記が行われていない建物であること。
  3. 相続開始の直前に、居住者が被相続人以外にいなかったこと。

こちらは国税庁のホームページ「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」でも紹介されています。

税金③マイホームの売却で3,000万円控除

節税に役立つ仕組みの2つ目は、「マイホームを売却した場合の3,000万円控除」です。「3,000万円の特別控除の特例」とも呼びます。

このマイホームを売却した場合の3,000万円控除も、これまで説明してきた各種減税制度と同じで、譲渡所得税や住民税を減税させる仕組みです。

具体的には、相続した人が、その家に自宅として住んでいた場合に、一定の条件を満たすと、譲渡所得が3,000万円控除されます。

これまで同様、3,200万円で購入した不動産(価額3,000万円)を相続して4,000万円で売却しても、この控除を活用すると、譲渡所得税負担がなくなります。

マイホームを売却した場合の3,000万円控除
譲渡所得税額譲渡所得税額(適用前)譲渡所得税額(適用後)
所有期間が5年以下の場合
(長期譲渡所得)
258万円0円
所有期間が5年超の場合
(長期譲渡所得)
129万円0円

適用を受けるための条件などについては、国税庁のホームページ「マイホームを売ったときの特例」も併せてご覧下さい。

税金④その他の特例ー特定居住用財産の買換え特例など

加えて、相続した不動産に子ども本人(相続人本人)が居住していた場合(=居住用財産の場合)で、買換えなどの条件を満たすと、以下の特例を適用できる場合があります。

  • 特定の居住用財産の買換え特例
  • 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
  • マイホームの買換えの場合の譲渡損失の繰越控除
  • 10年超所有の場合の軽減税率の特例

上記の減税策は、子どもが相続不動産に居住していなかった場合には、適用できません。すでにご紹介したマイホームを売却した場合の3,000万円控除(3,000万円の特別控除の特例)と同じですね。居住用財産であることに加えて、買換えなどの条件がありますが、その条件を満たせそうな場合、検討してみて下さいね。

不動産売却にかかる税金のまとめ

これまで相続した不動産を売却するにあたって活用できる代表的な節税方法3選をご紹介してきました。譲渡所得税や住民税が大きく減額になる仕組みがありますので、ぜひ活用を検討して下さい。

ただ、1つだけ注意点があります。ご紹介してきた控除の仕組みを活用するためには「確定申告」の手続きが必要になる場合があるのです。

そこで最後に、節税を行うために不可欠とも言える確定申告の仕組みについてご説明します。

税金【コラム】不動産売却前に活用できる節税方法もある?小規模宅地等の特例

実は、相続した不動産を売却する前に利用できる減税制度もあります。

その名は「小規模宅地等の特例」。
この特例は、子どもが親から相続する土地が小さい場合に、相続税を下げることができる制度です。具体的には、土地の広さが330㎡までの場合に、土地の評価額が20%に下がります。相続税は評価額にもとづいて計算しますから、評価額が下がると、相続税も下がるという仕組みになっています。

この小規模宅地等の特例を適用するには、以下の条件があります。

  • 子(相続人)が親と同居していること
  • 相続した子が、相続開始から相続税申告期限(相続開始から10ヶ月)まで、引き続いて、その住宅に居住していること
  • その土地を所有していること

また、もし、子が親と同居していない場合でも、以下の条件などを満たすと適用できる場合があります。

  • 親(被相続人)に配偶者がいないこと
  • 親と同居している親族がいないこと

詳しい条件については、国税庁のホームページ「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」も併せてご覧下さい。

なお、この小規模宅地等の特例を適用する場合には、注意点があります。
この仕組みを活用すると、相続税が下がりますが、相続税が下がるということは、不動産を売却して利益が出たときに発生する譲渡所得税や住民税が上がるおそれがあるのです。具体的には、相続税が下がるので、その住宅の取得費(その住宅を取得するのにかかった費用)が下がります。

譲渡所得税や住民税は、取得費が大きいほど、減額される(ないしゼロになる)仕組みですので、取得費が小さくなると、譲渡所得税や住民税が増える(ないし発生する)おそれがあるのです。

譲渡所得税や住民税は、不動産を売却したあと、利益が出ているときに負担しなければならない税金です。ですから、もし親から相続した不動産をのちに売却することを考えている場合には、この小規模宅地等の特例を適用したほうがいいのか、それとも適用しないで、売却するときに取得費を下げないほうがいいのか(=譲渡所得税や住民税の税額を上げないほうがいいのか)、よく検討したほうがいいでしょう。

相続不動産を売却した時に気をつけたい確定申告での4つの注意点

相続した不動産を売却した場合、確定申告が必要になる場合があります。

ただ、相続不動産を売却するときの確定申告には、いくつか注意点があります。

以下で説明しますので、ぜひ気を付けて下さいね。

税金①売却で利益が出たら申告する

まず、相続不動産売却における確定申告の注意点の1つ目は、確定申告が必要になるのは、相続した不動産を売却し利益が出た場合という点です。具体的には、2,000万円で購入した不動産を相続した後、500万円で売却しても、利益が出てませんから、確定申告は不要です。

税金②控除適用前に申告する

相続不動産を売却したときの確定申告の注意点の2つ目は、控除の適用前に申告しなければならないという点です。
実は、多くの控除は、確定申告をしないと受けられません。確定申告によって、相続した不動産を売却して得た利益(譲渡所得)などを申告したうえで、そこから特例や控除などが適用されて、減税されるという流れで進めることが必要になります。

これまで紹介してきた節税対策を適用して計算した結果、譲渡所得税の支払いなどが不要になったからといって、確定申告をしない場合、脱税行為になるおそれがありますので、気をつけて下さいね。

税金③売買契約書などを提出する

相続不動産を売却したときの確定申告の注意点の3つ目は、譲渡所得(利益)を確定申告する場合、申告書に加えて、以下の書類の提出が必要になるという点です。

  • 不動産購入時の売買契約書
  • 不動産売却時の売買契約書
  • 仲介手数料や印紙税の領収書など

また、取得費加算の特例などの控除を受ける場合には、相続税申告書の写しや登記事項証明書などの書類が必要になります。

税金④売却の翌年2月16日から3月15日に申告する

相続した不動産を売却したン場合の確定申告の注意点の4つ目は、確定申告のタイミングは、不動産を売却した年の翌年の2月16日から3月15日までという点です。

例えば、2020年7月1日に不動産を売却したとすると、確定申告は、2021年2月16日から3月15日に行う必要があります。売却した後、しばらく時間が経ってから申告や納税をしなければいけなくなる事も多くあり、忘れないようにしましょう。

【まとめ資料】相続した不動産を売却すると必要になる税金の税率一覧表

以下に一覧で税率をまとめましたので、参考にして下さいね。

種目税率
①登録免許税不動産の価額の0.4%
②譲渡所得税譲渡所得(利益)の15%(所有期間5年超)
または
譲渡所得(利益)の30%(所有期間5年以下)
③復興特別所得税譲渡所得(利益)の0.315%(所有期間5年超)
または
譲渡所得(利益)の0.63%(所有期間5年以下)
④住民税譲渡所得(利益)の5%(所有期間5年超)
または
譲渡所得(利益)の9%(所有期間5年以下)
⑤印紙税2,000円~10万円

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